Gambir Sawit (2)

 Lokananta CD 解説文シリーズ。「Gambir Sawit」の第2回目です。


 「Pare Anom」は、「Gambir Sawit」に加えられたバリエーションの名前です。「kebar」という言葉がありますが、これは伝統的なガンビョンの踊りにおける特別な太鼓の技術のことです。「Gambyong」は、バリの「joged bumbung」と同じものです。それは社交的な踊りで、多少複雑であると言えます。入り組んだ古典的形式の様相が、そこにはあります。「Pare Anom」はとてもエキサイティングなセクションで、サロン群がはっきりした旋律を大きな音で演奏します。太鼓が唐突に大きな音で演奏しますが、それがすなわち「kebar」です。

 次に「minggah ciblon Pancer Ana」が続きます。「Minggah」は上昇することを意味し、「ana」は「ada」のことで、そこにあるということを意味します。「Pancer」は音楽的な技術です。バルンガンの各旋律音の間に反復する音を置いていく、その高い音が「Pancer」です。

 とても興味深いのは、時々「pacar cina」つまり中国人のガールフレンドと呼ばれることです。チブロンはエキサイティングな音楽を演奏する太鼓です。それは太鼓の名前ですが、音楽の扱い方の名前でもあります。それは、バルンガンを少し引き延ばすことによって楽曲を拡張し、より広い空間を作るような手法のことです。そうすることによって、ガンバン、グンデル、ルバブやシンデンに即興の機会を与えることになります。これらの楽器はその空間で、演奏する音を2倍にしたりします。これはイラマの変化、または時間間隔の変化と呼ばれます。「Gambyong」は、社交的な踊りでもありますが、街頭での踊りでもあります。街頭では女性が立ち上がって、踊りのパートナーを選ぶのにスレンダンをお客に手渡したりします。チブロンはこのガンビョンの踊りの伝統の一部でもあります。チブロンの太鼓のスタイルは、王宮に取り入れられて、古典曲に取り込まれました。チブロンはそれまで王宮のレパートリーには存在しませんでした。「ciblon Pancer Ana」とはつまりそういう感じです。ガンビョンの踊りのために演奏される曲目と言うことです。

(つづく)


(メモ)

  • slendang ・・・(=slendhang)肩に掛けたり、胴の対角に掛けたりする布。

 ジャワのガンビョンがバリのジョゲッド・ブンブンと同じであるというのは、ちょっとビックリな感じです。ですが、何と言うか、目指しているところは同じという意味ではよくわかります。どちらも『女性らしさのアピール』ですよね。そう言えばこの間のランバンサリ公演で、インドネシアのダンサー(♂)が女形になってスレンダンをお客に掛けてましたね。あれもガンビョンって言っていいのかな?