響きの考古学
藤枝 守 著
響きの考古学 ― 音律の世界史
音楽之友社(1998)
この本は、そのサブタイトルが示すように、世界の音律の歴史を概観したものですが、特に興味深いのは、著者が多くを学んだ現代のアメリカの作曲家たちが、どのように音律に取り組んだかを紹介しているところではないかと思います。そう、当 Blog としましては、「ルー・ハリソンの音律」は、やはり取り上げなければということです。実は既にアメリカン・ガムランの解説を試みたところで、少しだけ引用しました。本書の表紙に怪しげなグンデルの写真が載っていますが、これが Lou Harrison のアメリカン・ガムランの楽器の一部です。
目次:
- 第1章 古代ギリシャの音律
- 第2章 古代中国の音律
- 第3章 アラブの音律
- 第4章 西欧の音律
- 第5章 現代の音律
- 第6章 あらたな音律の実践
「ガムランの影響」の節から、スレンドロとペロッグに関する記述をまとめてみましょう。
興味のある人は「おみやげスリン」の話のときに、それがなぜスレンドロでもペロッグでもないと言えるのか、この記述を踏まえてデータを見ることで、わかってもらえるのではないかと思います。
- スレンドロ
- 5音音階
- 音程の中に半音が含まれない
- オクターブをだいたい5等分している
- 各音程は200〜270セントくらいの幅がある
- ペロッグ
- 7音音階から5音を使用する
- 音階の中に半音が含まれる
- 半音の存在が大きな意味をもっている
またここでは、Lou Harrison の著書「MUSIC PRIMER」の内容をいろいろと紹介しています。藤枝さんが翻訳してるんですよね。この本。スレンドロやペロッグを音程の比率で表現していることとか、いろいろ。んーむずい。パス。へー、キース・ジャレットが委嘱した「ピアノ協奏曲」は「キルンベルガー第二番」なんだー。ふーん。まぁ、そんな感じです。