青銅音曲VII・公演

yazvinsky2005-02-11


 今日は、ランバンサリ自主公演「青銅音曲VII」に行ってきました。会場は東京荒川区の日暮里サニーホールです。曲目は以下の通り。


曲目:
第1部 古典曲 :シドムクティ
    現代舞踊:Padu(ボヴェ太郎)
         サプジャガッ〜ウィルジュン〜パテタン〜
         スリカトン〜スクモイラン〜アヤアヤアン〜
         スルプガン〜サンパ
第2部 古典組曲:クンバン・ガヤム〜クンバン・カテス〜
         スルプガン〜遊び歌クプ・クウィ〜
         メントッ・メントッ〜プンディシル
    舞踊  :スコルノ(飯島かほる)
         スカル・ガドゥン
    舞踊  :トペン・グヌンサリ(川島未耒)
         ボンデッ
昨年の公演と同様、演奏に安定感があるので、安心してジャワガムランの音世界に身をゆだねることができました。MC森重氏は前よりも若干にこやかな感じの親しみやすそうな雰囲気で、「民族音楽界の宇宙人」と言うのとは少し違うかなと。イメチェンでもはかったのでしょうか。残念。
 「シドムクティ」、「サプジャガッ」、「クンバン・ガヤム」、「ボンデッ」他、バティックの柄と同名の曲が多く選ばれているようです。家に帰ってきてからパンフレットを眺めて「あ〜そうなんだ」などと思っている次第で、聴いているときはそんなことは気にしないですね。やっぱり。
 今回の企画のアクセントとなっている現代舞踊のボヴェ太郎氏ですが、例えるなら、光り物の足袋でムーンウォークしながら太極拳している黒いフラワーロック、という感じでしょうか。こう書くとおちょくっているようですが、長身細身の男前がやるわけですから、なかなか絵になります。ガムラン音楽に反応して踊る、渾身のダンス・インプロヴィゼーションは見ている者を引き込みます。おしむらくは、彼のダンスを見ていると、もっとメリハリが効いた方がいいのでは、と感じてしまうことです。音楽がたゆたうような感じなのだから、それに反応すれば滑らかにくるくるするというのはなるほどですが、以前見たソロのガルーダの舞ではビシビシキメがあったので、そういった要素が入るともっとおもしろいと思います。
 ボヴェさんのパフォーマンスでは、スモーク焚いたり、大顔面と手のひらのオブジェが天井から現れたりと、演出上のいくつかの仕掛けがありましたが、よかったんじゃないでしょうか。舞台装飾として下げられていたバティックは、それだけではちょっとどうかという感じもしましたが、その向こうから現れるオブジェなども含めた演出の一部とすれば、それもそれなりに良いのではと。
 さて、ボヴェさんも悪くないですが、最も印象深いのはトペンでした。実演は初めて見ましたが、仮面舞踊というのは場の空気を微妙に変質させるものですね。それはちょうどガムラン音楽が音場を変質させるのに似ているとも思えます。また、現代舞踊との対比を通して、音楽と踊りとの芸能としての緊密度がよりはっきりと感じられる。なんでしょうか、もはや音楽と舞踊がひとつの塊に感じられるとでも言えばいいでしょうか。